抜歯後の注意点
抜いた日は安静にして下さい
歯を抜くと出血し、その後にかさぶたになります。それまでは血が出やすくなっているので、アルコールの摂取、運動、長時間の入浴は避けましょう。血行が良くなってしまい、出血しやすくなってしまいます。
抜いた部位は触らないで下さい
舌や食べ物、水などで抜いた穴に触れないように極力気をつけて下さい。かさぶたが気になるかもしれませんが、剥がしてしまうとばい菌に感染してしまう恐れがあります。(注意していれば、過度に怖がる必要はありません。)
お薬をきちんと飲んでください
感染予防のため、抗生剤が出ることが多いです。口腔内は、雑菌がたくさんいます。抜歯した傷口からばい菌が入ると、長引いて痛みが出ます。出されたお薬は、指示に従ってきちんと飲むようにしましょう。痛みが我慢できない場合は、痛み止めを飲むようにしてください。痛み止めで痛みが引かないときや、何日も痛みが続くときは、ご連絡ください。
食事は反対側で食べてください
抜いた日とその翌日くらいまでは抜いたところに食べ物が当たらないように、反対側でそっと食べてください。痛みがあると食欲が落ちますが、体の活力がないと傷の治りも遅れます。柔らかいものでいいですので、頑張って食事をとるように心がけましょう。
うがいは行わないで下さい
激しくうがいをしてしまうと、かさぶたができなくなってしまいます。また、かさぶたができても取れてしまうことがあります。ですので、うがいは24時間は行わないで下さい。歯磨きも、歯磨き粉なしで行うようお願いします。
たばこを吸わないで下さい
たばこのニコチンなどの有害成分は、傷口の治りを遅くするだけでなく、感染の原因ともなります。また、喫煙で口腔内が陰圧になるとかさぶたが取れてしまって、傷の治りが悪くなります。喫煙の習慣がある人は、抜歯翌日くらいまで喫煙を控えてください。
出血が止まらない場合には
ガーゼや丸めたティッシュを噛むと、30分程度で出血が止まる場合がほとんどです。 出欠の原因で最も多いのが、「血が気になってうがいをしてしまった」です。傷のかさぶたが取れて、かえって血が止まらなくなりますので、うがいは避けてください。 長時間止まらない場合には、ご相談下さい。
痛みが引かない場合は
抜歯後の痛みは傷の大きさにもよりますが、通常、3日~4日後より日数が経つに連れて徐々に和らいで行きます。数日しても激しい痛みや腫れが続いたり、抜いた直後はさほどでなかった痛みが、日を追ってひどくなることがあります。このような場合いわゆるドライソケット(急性歯槽骨炎)や感染を起こしている可能性があります。お早めにご連絡ください。
麻痺について
親知らずを抜歯した後、麻痺(しびれ)が出ることがあります。
下の親知らずの近くに、下あごや舌・唇 につながる神経が走っているからです。親知らずの根が神経をまたいでいたり、神経の本当にすぐそばにあったりします。神経を切らなくても、抜歯の際に少し触っただけでも麻痺が出ることが稀にあります。
抜歯の際、多少神経に触れたくらいであれば、麻痺は長い期間残ることはありません。
違和感がある場合は神経に効くビタミン剤を処方されることが多いです。
処方されたビタミン剤によって症状が改善されることはよくあります。
しかし、麻痺が続く・感覚がほとんどないなど症状がひどい場合は速やかな処置が必要になります。鍼治療、低出力レーザー照射、神経ブロック、神経再生手術などが代表的な治療方法です。
鍼治療は顔の外側から鍼を刺して神経まわりの筋肉を刺激し、麻痺を治療する方法です。
低出力レーザー照射の千代方法は、患部にその名のとおり低出力のレーザーを直接照射し麻痺を軽減していくいきます。神経ブロックは、星状神経という喉にある 神経に極少量の麻酔を繰り返し注入する方法です。
ちなみに星状神経とは、7つある頸椎(首の骨を構成している骨)の1番下にある第7頸椎の両脇あたりにあ ります。ここは、頭・顔面・首・肩・腕・胸・心臓・肺などの神経が集まっている『神経のツボ』のようなところです。
投薬⇒鍼⇒レーザー照射⇒神経ブロック⇒再生手術 と、麻痺の度合いによって適した治療法も変わってきますが、どちらにしても大切な神経の修復で すから、早く処置するにこしたことはありません。敏感になり過ぎる必要はありませんが、少しでも回復状況に違和感を感じることがあれば、早めに主治医に相 談されることをお勧めいたします。
腫れについて
親知らずを抜くからといって、必ず腫れるわけではありません。親知らずの生え方などによって、腫れやすくなる場合があります。
親知らずが外から見えない場合
歯茎の中に隠れていて、さらに顎の骨の中に潜り込んでいるような親知らずは、抜く際に、歯の周囲の骨を一部修正してから取り出します。このように骨などを削って歯を取り出さなければならない場合には、抜いた後に腫れる場合が多くなります。
親知らずが見える場合
親知らずが普通の歯と同じように生えている場合は、腫れたとしても軽微で済むことが多くなります。ただし虫歯などで歯がボロボロになっている場合は、隠れているときと同じように歯の周囲の骨を修正してから取り出すため、腫れることもあります。
下の親知らずの場合
下の親知らずは、上に比べると骨が硬くてがっちりしています。親知らずも骨の中に埋まっていることも多く、骨を修正しなければ抜けないこともしばしばです。さらに抜くのにも時間がかかることあります。上に比べると、抜いた後に腫れやすいといえます。
上の親知らずの場合
比較的腫れにくいことが多いのですが、親知らずの位置が、すごく奥の方であったり、骨の中に完全に隠れてしまっているような場合は、抜くのにも時間がかかり腫れることもあります。
一般的に下の骨にもぐっているような見えない親知らずを抜いた場合は、抜いた後に腫れるのが普通です。
抜歯後にもし腫れてしまったら?
抜いた後は痛くなるの?
骨の中に埋まっていたような親知らずを抜いた場合など、治療後麻酔が切れてくると2~3時間後に痛みが出てくることがあります。痛みを感じる前に、薬を飲むように指示されることもあります。通常は2日~1週間程度で落ち着いてきます。
どの程度腫れるの?
個人差や抜く歯の状態に左右されます。ほとんど腫れないこともあれば、握りこぶしが入っているかのように腫れてしまうこともあります。
腫れはいつまで続く?
腫れがそれほど大きくなければ、1週間程度で落ち着くことが多いですが、大きく腫れると2~3週間程度かかることもあります。
冷やしたほうが良い?
腫れそうな感じがしたときは、早めに外側から冷やしましょう。ただし冷やしすぎは良くありません。ジェル状の熱を吸収するシートなどを利用するか、保冷材などをタオルでくるんで適度に冷やすと良いでしょう。
顎の感覚が無くなった?
まれに、顎の奥で親知らずと顎の中の太い神経が接触した状態になっていることがあります。この親知らずを抜くと顎の感覚が無くなったりすることがあります。この場合、感覚が回復するのには時間がかかります。
抜く人の腕が悪いと腫れる?
そんなことはありません。どんな名医でも、全ての親知らずの抜歯で、腫れない保証することは困難です。また同じ人が抜歯しても、抜いた場所によって腫れる、腫れないといったことがよく起こります。腫れは、抜歯後の生体反応として現れるためです。