親知らず
「親知らず」とは、第三大臼歯のことで、中心から数えて八番目に生えてくる歯を指します。
20歳くらいまでに生えてくるのが一般的です。親知らずはs列の最後方に位置し、萌出場所の不足、萌出方向の異常などにより、真横や斜めになり、骨に完全に埋まっていたり(完全埋伏)、あるいは大部分が骨に埋まり、一部だけが歯肉からでているような場合(不完全埋伏)もあります。特にこの傾向は、上顎より下顎の親知らずに多いです。
完全に萌出し上下の親知らずがかみ合っていることは珍しいくらいで、親知らずやその周囲に歯ブラシが届きにくいばかりでなく、自浄性も悪いことから清掃不良になり、虫歯や歯の周囲の炎症をおこしやすくなります。
痛みの原因
親知らずが痛むのは虫歯がひどくなったときと親知らずの周囲組織に炎症が生じた場合(智歯周囲炎)です。
智歯周囲炎 | 特に下顎の親知らずは萌出場所が狭く、この場所の骨や歯肉(歯ぐき)も厚いので正常な萌出が妨げられ、手前に傾いたり、水平になったりすることがあります。その結果、半埋伏や完全埋伏の状態になります。すると手前の第二大臼歯との間にすきまができ、食べかすなどがたまって不潔となり、細菌感染をおこします。そして炎症を起こし、腫れたり痛みが出ます。この状態を智歯周囲炎といいます。症状が軽いうちは、腫れや痛み、口が開きにくくなるなどですが、悪化すると顎骨炎や扁桃周囲炎を引き起こすこともあります。 |
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上の歯
上顎は、下顎よりも骨の密度が低く(やわらかい)、比較的簡単に抜歯できるとともに、抜歯後の腫れも一般的に少ないです。
下の歯
下顎の骨は密度が高く、また麻酔も効きづらいので上の親知らずよりも比較的抜歯が困難になります。また、抜歯後の痛みも上の親知らずより長く、1~3週間ほど続く場合があります。下の親知らずの抜歯をする上で気を付けなければいけないのが、下顎管(神経の通っている管)の存在です。親知らずがこの下顎管に近接もしくは接触している場合、唇の麻痺が出るリスクがあります。
親知らずの症状
腫れ、痛み
親知らずにつき、腫れや痛みが生じるのは、ブラッシングが行き届かないことで清掃不良になり、虫歯や歯の周囲の炎症(智歯周囲炎)を起こすためです。
虫歯については皆さんご存知の通りです。放っておくと隣接する歯(第二大臼歯)も併せて虫歯になるケースが多いので注意が必要です。
また、智歯周囲炎については、 症状が軽いうちは、腫れや痛み、口が開きにくくなるなどですが、悪化すると顎骨炎や扁桃周囲炎を引き起こすことがあります。頻繁に腫れ・痛みを繰り返す場合には抜歯をお勧めします。
口臭
腫れや痛みの原因にも通じるのですが、清掃不良になることで歯と歯茎の間(歯周ポケット)に食べかすなどがたまり、そこに住み着いた細菌が硫化水素やメチルメルカプタンを産生し、これが口臭の原因になる場合があります。